多産DVでお悩みの方へ
多産DVとは
多産DVとは、女性は妊娠を希望していないのに避妊をしない性交渉を強要し、妊娠を繰り返させるDVのことをいいます。妊娠後、女性の意思を無視し、出産または堕胎を強要する場合も含みます。女性は度重なる出産・育児で、経済的・時間的に拘束されることとなり、自立が難しくなります。
その結果、DVやモラハラのある夫と離婚したいと思っても、離婚がしづらくなるという側面があります。
多産DVが疑われるケース
①出産から次の妊娠までの期間が短く子どもが多数いる
②中絶経験が複数回ある
③複数回帝王切開をしているのに妊娠を繰り返す
④夫が避妊に協力しない
といったケースでは多産DVが疑われます。ただし、子どもが多いから必ず多産DVというわけではないですし、逆に少ないからDVはないというものではありません。
夫婦の話合いの上での妊娠であれば何ら問題ないのですが、そもそも女性自身が多産DVを受けていることに気づいていないこともあります。多産DVの被害者は、同時にモラハラの被害者であることが多いため、自分さえ我慢すれば良いと思っていたり、夫婦なんだから応じるのはあたりまえという考えにとらわれ、おかしいことに気づかないのです。
多産DVとモラハラの関係性
妊娠・出産は、女性の身体に多大な負担や危険を伴うものです。それでも妻の意向を無視して、避妊なしの性交渉を強要するのは、妻の人格を無視し、妻を自分の所有物として扱っているのと同様です。
モラハラは、態度や言葉による嫌がらせを繰り返す精神的暴力ですが、このように避妊をしない性交渉を強要する多産DV加害者は、同時にモラハラ加害者であることがほとんどです。また、多産DVそのものがモラハラにあてはまるとも言えます。
被害者が検討すべきこと
多産DVが疑われる場合は、まずはご自身がDVの被害者であることに気づくことが大事です。ご自身がDVの被害者なのかどうか判断がつかない場合は、まずは友人等の身近な人に相談されるでも良いと思います。身近な人に相談しづらければ、各自治体等の相談窓口がありますので相談してみてください。以下の番号にお電話していただくと、適宜の方法での相談ができます。
【DV相談ナビダイヤル】#8008 → 最寄りのDV相談支援センターに繋いでもらえます。
【DV相談+】0120-279-889 →電話・メール・チャットで相談ができます。
そのうえで、夫婦での性生活の在り方、家族計画の在り方について夫とよく話し合うことが大事です。それでも夫が変わってくれないようであれば、離婚を検討しましょう。あなたの人格を無視する夫と今後の人生をともにできるか、一方で離婚してお子さんを育てて行くことができるか、すぐに決断はできないかもしれません。離婚問題に精通した弁護士は、様々なケースを見ていますので、離婚すべきかどうか、離婚する場合の進め方について適切なアドバイスができます。少しでも離婚を考え始めたらまずは弁護士に相談することをお勧めします。
別居について
多産DV加害者の夫で特にモラハラもあるようなケースでは、離婚を拒否されるケースが多いです。その場合は、まず別居をすることが重要です。とにかく早く夫から逃げたいけれど、子どもを連れてすぐに身動きが取れない場合は、上記相談窓口を通じて母子シェルターを利用することもできます。そこまで差し迫っていないケースでは、別居後の生活費の確保、財産分与の見通し、離婚原因の証拠収集等について事前に弁護士と相談し、入念な準備をしたうえで別居を開始することをおすすめします。