離婚訴訟
離婚訴訟とは?
離婚を求める裁判のことをいいます。
調停までの段階で話し合いがまとまって離婚ができていれば,離婚訴訟をする必要はありません。
よく離婚されたい方が,「裁判を起こしてください。」とおっしゃいますが,裁判は相手が離婚を拒否していたり,相手が行方不明だったりした場合の最終的な離婚をする手段です。
基本的には,離婚訴訟の前に,調停を経ていないといけないことになっていますので,裁判の前には調停を経なければなりません。
なお,相手が行方不明である場合等相手が調停に来て話し合いをすることが物理的に不可能な場合には,調停をしないでいきなり裁判をすることができるケースもあります。
どんなに離婚をしたい気持ちが強かったり,相手に問題があっても,それだけでいきなり裁判をすることはできませんのでご注意ください。
離婚訴訟は,どんなに相手と決裂しても,最終的に裁判所が結論を出してくれます。
ただ,裁判をしたからといって,離婚が認められるわけではなく,ご夫婦関係が破綻しており修復不可能と判断された場合に離婚が認められます。
離婚訴訟の始め方
夫又は妻の住所地を受け持つ家庭裁判所に,必要書類の提出と収入印紙,切手を納付することで離婚訴訟を始めることができます。
ご夫婦が別居されている場合,どちらの住所地の裁判所で訴訟を起こしてもかまいません。
ご夫婦の住所地と離婚調停を行った家庭裁判所とが違う場合は,離婚調停を取り扱った家庭裁判所で離婚訴訟を取り扱うこともあります。
必要書類は,訴状,戸籍謄本,証拠説明書,証拠です。
収入印紙は訴訟の内容で額に変わります。
切手も概ねどこの裁判所も似たような組み合わせですが,若干の違いがあるので,事前に問い合わせてください。裁判所のHPに記載されているところもあります。
離婚訴訟になると,ほとんどのケースで弁護士を依頼されていると思いますので,裁判所に提出する書類等は弁護士が作成します。
もし,弁護士を頼まずご自身だけでやる場合には,時々弁護士に法律相談をしたり,裁判所の職員に質問したりしながらできるだけ不備のないようがんばるしかありません。
この場合でも,裁判所の職員は形式的な点(提出すべき書類,訴状や書類に必ず書かなければならない事務的な内容についての不備,日程調整等)にしか回答できないので,
あまり裁判所の職員にいろいろと聞くより,弁護士に相談された方がいいと思います。
裁判所に行くと,時折法律相談を裁判所の職員にしている方を見かけますが,職員の方も大変困っており,裁判所によっては法律相談は受けられない旨掲示してあるところもあります。
弁護士に相談するのは敷居が高い,費用がかかるといった点で,裁判所に行かれている方も多いと思いますが,ご自身の人生のかかった大事な場面ですので,きちんとした法律相談を
受けられることをおススメします。
提出は,家庭裁判所の受付窓口に直接持参でも,郵送でも大丈夫です。
裁判所に2部提出し,内1部は裁判所から相手に送られます。
訴訟提起した後の流れ
訴訟提起から第1回の裁判の日まで
裁判所から訴訟を提起した人のところに,電話が入り,日程調整をして第1回の裁判の日を決めます。
弁護士に依頼している場合には,弁護士の事務所に連絡が来ます。
第1回の裁判の日は,訴状を提出してから約1か月~1か月半後に指定されます。
その後,相手のところに訴状や証拠が郵送されます。
第1回目の裁判の日
所要時間は5分程度です。
弁護士に依頼している場合は,ご本人は行く必要ありません。
ここが調停と訴訟の大きな違いです。
訴訟は,基本的には弁護士だけの出席で進み,ご本人が裁判所に行くのは,和解のとき,尋問のときです。
また,訴訟は,調停のように最初に訴訟についての説明等なく,淡々と法律上やるべきことを進めます。
特に初回は相手が欠席していることも多く,訴状と答弁書の陳述(読み上げるわけではなく,裁判官「訴状陳述ですね。」,弁護士「はい。」と確認するだけです。)
と次回の日程調整をするだけで終わることがほとんどです。
第2回目以降の裁判の日
1回目の裁判の日から約1か月~1か月半後に2回目の裁判の日が決められます。
その後も概ね約1か月~1か月半に1回のペースで裁判は進みます。
2回目以降は,より話し合いがしやすいように,公開の法廷ではなく,非公開,かつ,会議室のような部屋で行われることが多いです。
2回目は公開の法廷でも,3回目くらいからは多くのケースで非公開の会議室のような部屋で行われています。
和解
ある程度お互いの主張や反論,証拠が出た段階で,裁判所から和解についての意向を聞かれます。
もちろん,早期に和解したい場合は,早い段階から和解の希望と条件を提示してもかまいません。
双方が条件に合意すれば,裁判のどの段階でも和解により裁判を終わらせることができます。和解が成立する日にはご本人が行く必要があります。
DV等で相手に会いたくない事情がある場合は,成立のときに別室にしてもらうよう事前に裁判所に伝えておきましょう。
証拠調べ(尋問)
お互いの主張や反論,証拠が出尽くし,和解ができないとなると,ご本人たちや関係者への尋問をします。
尋問というのは,公開の法廷で証言台に座り,ご自分の弁護士,相手の弁護士,裁判官からいろいろと質問を受けて答えるという手続きになります。
ドラマで見る裁判の場面というのは,この尋問の場面であることがほとんどです。
実際には,尋問に至るまでにたくさんの書面や証拠を裁判所に提出し,和解の話などもしています。
尋問は,離婚訴訟の場合,ご夫婦だけが尋問の対象になることが多いですが,離婚原因となった暴力を直接見た人やご夫婦の状況をよく知る親族,子ども等が尋問の対象となることもあります。
和解
証拠調べ(尋問)が終わると,多くのケースで,再度裁判所から和解の話があります。
公開の法廷から部屋を移動し,原告側と被告側は別室で待機し,裁判官が移動しながら双方の言い分,和解条件などを聴き取ります。
尋問の後の和解の段階になると,裁判官は概ね判決の見通しを立てていますので,和解をするのか,するとしてどういう条件なのか,裁判官の提案を完全には無視せず,自分の希望とうまく
折り合いをつけて決断することが重要になってきます。
判決
尋問後の和解もできないとなると,判決の言渡しがされます。
判決内容に不服がある場合は,判決文を受け取ってから(弁護士を依頼している場合は弁護士が受け取ってから)14日以内に控訴ができます。
控訴したり,されたりしなければ,判決が確定します。