長年夫のモラルハラスメントに悩まされた50代の妻が、夫の定年退職を目前に協議離婚し、退職金を含む財産分与を受けられた事例
ご依頼前の状況
依頼者である妻は、長年夫のモラルハラスメントに悩まされてきた。夫は定年退職が迫っていたが、退職後の夫と生活を共にできないと考えていた。しかし、夫は離婚を拒否することが予想された。また、仮に離婚に了承したとしても財産分与を渋ることも予想された。夫との上下関係を感じていた依頼者は、とても自分では夫と話をすることができないと思い、弁護士に離婚協議を依頼した。
ご依頼後の状況
受任後、弁護士は速やかに夫との面談を設定し、これまでの妻の思いや、離婚の意思が固いことを伝えた。依頼者は既に親の介護を理由に夫と別居していたが、本来の婚姻費用よりも低い金額の婚姻費用しか貰えていなかった。そのため、まずは婚姻費用について相当額を支払うように夫に提示した。これにより夫は、話合いが長引けば、費用負担が嵩むことを理解し、条件次第での離婚に承諾するようになった。その後、夫から財産資料の開示を受けることができたが、離婚後の生活不安を理由に、分与額を少し減額して欲しい旨の申し入れをしてきた。妻としては、夫の提案を拒否して調停にする選択肢もあったが、早期離婚を望んでいたこと、別居期間が短かったため離婚を拒否された場合の調停・訴訟の見通しが必ずしも明るくないことを考慮して、夫の要望を聞き入れることとした。財産分与は退職金を含むものであり、退職金の支給時期は約1年後であったため、夫は合意時には支払う現預金が無かった。そのため、退職金の支給までは、婚姻費用と同額を分割で支払ってもらい、退職金支給時に残りを一括で支払う旨の公正証書を作成した。最終的に、無事に全て支払ってもらうことができた。
担当弁護士の解決のキーポイント
離婚については、依頼者から、夫が金銭を出し渋る性分であることを事前に聞いていたため、婚姻費用を請求すれば離婚に合意する可能性が高いと予測していた。結果として、その通りになった。財産分与については、多少減額に応じたものの、退職金の支給時期より前に公正証書を作成することができたので、退職金支給後に夫に使い込みをされる事態を回避できた。