妻の父が威圧的で協議が進まなかったが、適正額の養育費と面会交流を実現して調停離婚できた事例
ご依頼前の状況
依頼者である夫は、妻から離婚を求められた。当時子どもが生まれたばかりであり、夫としては積極的な離婚は望んでいなかった。しかし、妻の離婚の意思が固かったため、話し合いには応じるつもりでいた。ところが、いざ離婚の話し合いをしてみると、妻ではなく、妻の父がメインで話し合いに出てきて、威圧的に夫のことを非難する状況であった。一方的に非難され、夫の希望を聞き入れようともしない話し合いになってしまい、離婚協議を続けられない状況になった。夫としては、生まれたばかりの子どものことを最重要視していたので、離婚をするとしても最低限面会交流は実現したいと考えていた。
ご依頼後の状況
離婚協議が進んでいない原因は、妻の父が離婚問題の前面に出てきていることにあると考えた担当弁護士は、すぐに離婚調停を申し立てることにした。
離婚調停であれば、妻と妻の代理人弁護士しか話し合いに関与できないので、妻の本音を聞き出すことが出来ると考えたのである。
離婚調停では、夫としては、当初親権がほしいという主張をしたが、話し合いを進めるうちに、子どもが乳幼児であることから現実的ではないと考えるに至った。しかし、親権は譲るとしても面会交流は必ず実現したかったので、離婚調停の最中に、期日間に面会交流を実施するよう求めた。妻側も一定の理解を示し、離婚するためならということで面会交流を実施してくれるようになった。調停成立前に3~4回の面会交流を実施し、夫としても妻の面会交流へのスタンスを信頼するに至ったタイミングで離婚することに同意した。
面会交流の頻度も、一般的な月1回に加えて、隔月で月2回実施の月を設けることで合意できた。妻としても、実際に面会交流を実施したことで、面会交流への抵抗感が薄れたようであった。
養育費については当初夫が想定していた金額よりも大きい金額を主張されていたが、妻の育休から復帰後の収入を主張し、夫の想定通り、月5万5000円の養育費額で合意することが出来た。
担当弁護士の解決のキーポイント
離婚に詳しい弁護士からすると、妻の父が前面に出てきて、夫のことを非難ばかりするという状況は、初回相談の段階で比較的よく見られる状況である。そのような場合、妻の真意が出てこないので、妻側の譲歩できるポイントもつかみにくい状況になってしまう。そこで、担当弁護士は、離婚協議は諦め、妻と代理人弁護士だけが関与するように、離婚調停をすぐに申し立てることにした。この方針が功を奏し、妻の真意を把握でき、現実的な面会交流の実施という譲歩を得ることもできた。