離婚に向けて別居をお考えの方へ
離婚を決意し、別居を予定されている方は、別居する前から弁護士にご相談されることをおすすめします。
別居前にやっておいた方がいいことは多数あります。それを知らずに別居してしまい、別居後家に戻れなくなり、後悔されるケースがあります。
法的な観点からいって一番大事なのは、夫婦共有財産の把握です。別居後、相手が財産開示に協力的であるとは限りません。むしろ、あるはずの財産なのに、隠されてしまうことも多々あります。ですので、同居している間に、夫婦共有財産をしっかり把握し、証拠をとって別居されることが大切です。しかし、何が夫婦共有財産にあたるのか、証拠として何を残しておけばいいのか、すぐにわかる人はいないでしょう。そのため、法律の専門家であり、離婚案件の経験が豊富な弁護士に、別居前にご相談されてみてください。
また、特に、以下のケースにおいては、別居前から弁護士に依頼し、別居後すぐに離婚交渉を進めてもらった方がいいケースです。
別居前でも弁護士に依頼すべきケース
財産がわからない。財産を隠されている。財産を移動されている。
上記のように、ご夫婦の財産に疑念がある場合には、別居前から弁護士に依頼し、継続的なご相談をされておいた方がいいでしょう。ご夫婦の年収、お子さまの年齢や数、生活状況などから、離婚案件を多数扱う弁護士であれば、貯蓄の多い、少ないなどは経験上判断できることが多いです。ですので、依頼者の方が把握されている財産が、ご夫婦の財産として適当な額かどうかも概ね予測がつきます。
また、財産を隠されていたとしても、ご同居中であれば、至るところから財産の痕跡を窺い知ることができます。さらに、財産を他の名義に移される危険がある場合には、早急に保全の措置をとった方がいいケースもあります。
ですので、財産について上記のような不安がある場合には、早めに弁護士に依頼し、二人三脚で財産の把握に努めていった方がいいと思います。
暴力がある。
暴力がある場合には、ご自身の身の安全を一番に考え、早急に別居された方がいいでしょう。苦しい思いをされながら、別居、離婚と重大なご決断をされるのは精神的に大きなご負担を伴います。警察にもすぐにご相談されることをお勧めいたします。弁護士にもすぐにご相談され、冷静に身の安全を守る方法を考えていきましょう。
また、暴力を受けられている場合は、別居先の住所を相手に知られないようにする手続と事前にとる、別居後相手とは直接やりとりしないようにするといったご準備も必要です。相手方からの暴力がある場合の別居後の交渉は、弁護士に任せてください。
モラハラがある。
モラハラがある場合は、相手に精神的に支配されがちで、別居や離婚を思い立っても、なかなか行動ができなくなってしまうことがあります。
また、モラハラをする人は、自分の方が立場が上で、相手を支配したいという気持ちが強いため、一度家を出て行くことに成功しても、連れ戻されたり、言葉巧みに説得してきたりするケースも多いです。
ご自身の幸せのために、相手にコントロールされず、冷静な判断をするには、早期に弁護士に相談され、交渉の窓口を弁護士に任せることをおすすめします。
モラハラをする人は、弁が立つ場合が多いです。そのため、弁護士に依頼しても、依頼した弁護士が丸め込まれるのではとご心配される方もいます。しかし、弁護士は、そういう方を相手に相当の交渉件数を積んでいます。高圧的な言葉や言葉巧みな話術に屈することはまずありません。弁護士はあなたの味方であるとともに、法律の専門家であり、交渉の専門家です。是非、早期にご相談されてください。
別居後一切やりとりしたくない。
こういう方は、別居前から、弁護士に依頼し、別居時に代理人である弁護士の名前や連絡先を相手にわかるようにしておくことが肝要です。家を出て行った直後は、ほとんどのケースで相手からLINEや電話での連絡が多数きます。ご自身だけにではなく、勤務先やご両親に連絡されることも多々あります。場合によっては、勤務先やご実家に押しかけてこられることもあります。このような事態を防ぐためにも、別居前に弁護士に依頼し、たとえば、別居日当日にご自宅に弁護士名などの書置きを残す、弁護士から別居当日に受任通知が届くようにしておくなどといった措置をとっておいた方が無難です。同居中から弁護士を依頼することをためらう必要はありません。より早期に介入できた方が弁護士もやりやすいものです。
弁護士に離婚問題を依頼するメリット
弁護士に離婚問題を依頼すると、
以下のような法的なメリットがあります。
別居前に弁護士を依頼した場合、同居中から以下のメリットを享受できます。
特に、いつでも法的な質問ができることで、よりスムーズな別居が可能になります。
- 妥当な条件や見通しを知ることができる。
- 協議離婚、調停離婚、裁判離婚の手続きを任せられる。
- 書面を作ってもらえる。
- 提出する証拠を選んでもらえる。
- いつでも法的な質問ができ、疑問を解消できる。
- 類似ケースについての解決策を聞くことができる。
- 裁判所のやり方がおかしいときに、正してもらえる。
法的なメリット以外にも、以下のようなメリットがあります。
- 代わりに相手と交渉してもらえる。精神的な負担が軽くなる。
- 感情的に乱されず、冷静に判断できる。
- 相手が無視したり、はぐらかしたりしにくくなる。
- (裁判の場合)裁判所に行かなくていいため、仕事に支障が出ない。
- (調停の場合)調停委員に言いにくいことも代わりに言ってもらえる。
- 交渉や調停のその場で、有利不利、妥当、妥当でないという判断が即決でできる。
- できるだけのことをやったと後悔が残りにくい。
- 力強い味方ができ、1人で戦わなくていい。
別居前から弁護士を依頼すれば、別居直後から相手との交渉は弁護士に任せられます。
弁護士への依頼を決めた際は、弁護士の中でも、特に”離婚を多数扱っている弁護士”に依頼しましょう。
弁護士が取り扱う分野は多岐にわたります。
病院をイメージしていただくと分かりやすいですが、おなかが痛いときには内科、目の調子が悪いときは眼科、鼻水が止まらないときには耳鼻科を受診されると思います。
弁護士も同様に、それぞれに得意な分野があります。扱っている案件が多いほど、交渉において重要になるポイントを把握しており、案件慣れしているため優位に交渉を進める方法を熟知しています。
最後に
私たちはできるだけ早い段階でご相談にきてほしかったと思っています。それは、後になればなるほど、できることも限られてくるからです。問題が大きくなる前に、相手が感情的になりすぎる前に建設的な解決策を考えていきたいと思っています。
できるだけ早期に、離婚問題に精通した弁護士に相談し、紛争を大きくせず、問題を解決していきましょう。