離婚調停を申し立てたい方へ
離婚調停を申し立てたいあなたは、「離婚したい」という意志が固まっているということです。
まずは落ち着いて、申し立てる前に弁護士の元に相談に行かれるといいと思います。
離婚調停を申し立てるためには、申立書を作成して家庭裁判所に提出します。この申立書は相手にも送られます。申立書に書いた内容により、紛争が悪化する、後々ご自身に不利に使用されるリスクがあります。
また、調停は、かなり時間がかかります。申し立ててから、1か月半~2か月先に第1回期日(裁判所に行く日)が指定されます。その第1回期日の日程は、相手の都合は聞かずに決められるため、相手に欠席され、何の話し合いもできないということが少なくありません。第1回期日に相手が欠席だった場合、さらに1、2か月先に第2回期日が設定されるため、実際、離婚について話し合いが始まるのは、調停を申し立ててから3、4か月後ということがよくあります。このように、調停は時間のかかる手続きです。
したがって、調停を申し立てる前に、弁護士に、調停という選択の是非や申立書に記載する内容などについて、相談しておいた方がいいでしょう。
場合によっては、直接話すのが嫌であれば、弁護士に離婚協議の代理人を依頼するという方法もあります。
まずは、法律相談に行き、あなたのケースでどう動くのがベターかアドバイスを求めてみてください。
特に、以下のケースにおいては、弁護士に相談され、依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼すべきケース
調停の申立書の書き方がわからない。
裁判所のホームページやインターネット上で離婚調停の申立書の記載例を見ることはできます。
しかし、ご夫婦の状況は千差万別で、どの記載例もあなたのケースにぴったりとはあてはまりません。離婚に至った経緯や相手の特性、あなた自身の希望など、調停委員にわかりやすく、相手を過度に刺激しすぎないように、調停をスムーズに進めるために、申立書を作成するのは難しいものです。
離婚を多く扱う弁護士であれば、あなたの状況や今後の調停の帰趨を予測し、よく考えた上で、申立書を作成します。
ですので、申立書の記載に悩む、ご不安がある方は、離婚を多く扱う弁護士にご依頼され、弁護士に申立書を作成してもらった方がいいと思います。
調停委員に強く言われると反論できない。
調停は話し合いをまとめる手続であるため、調停委員も、争いを解決しようとして、強く説得したり、不愉快なことを言ってくることがあります。実際の調停を経験すると、みなさん、「一人ではうまく話せなかった。」、「調停委員は相手の味方のように思える。」、「自分の話は全く聞いてくれない。」と口々におっしゃいます。
特に、説得しやすい方を説得する方向に流れますので、気の優しい方、真面目な方、相手に配慮しようとする方などの場合、どんどん譲歩を求められる傾向があります。
しかも、調停委員は、ほとんどの場合、法律の専門家ではありません。ですので、意図せず間違ったことを言ってしまうこともあります。
調停委員が強く説得してきても、適切に反論したり、間違いを指摘したりするのが難しい性格の方の場合は、専門家である弁護士を依頼して、代わりに反論してもらうのがいいと思います。
法的に適切な条件で離婚したい。
上記にも記載したとおり、調停委員は、法律の専門家ではありません。
ですので、法的に妥当な解決を図るというよりは、基本的には当事者同士が納得すればよしという考え方で、調停を進めていきます。その結果、算定表とはかけ離れた金額の養育費で合意をしていたり、年金分割をしていなかったり、支払う必要もないのに慰謝料を支払う内容で合意していたり、お子さまに全く会えないような内容になっていたり、浮気があるから親権はとれないと言われ親権を諦めていたり・・・弁護士が入らずに成立した調停の調書を見ると、驚くような内容になっていることがよくあります。
そういう調書を見るたびに、「弁護士が入っていればこんなことにはならなかったのに。」と悲しくなります。
是非、法的に妥当な条件で離婚したいのであれば、ご自身たちだけで調停を成立させず、せめて弁護士のところに相談に来られてください。
相手が、「気が強い」「弁が立つ」「嘘や大袈裟な主張をする」。
相手が、上記のような性格の場合、弁護士をつけていないと調停の進行が非常に難しくなることが多いです。
たとえば、相手が一方的に自分に有利な主張をし、調停委員がそれを信じてしまって、あなたには冷たい態度をとってくる、調停の時間が相手にほとんどとられてしまい、あなたが話す時間はとても少ない、といったことはよくあります。
弁護士をつけていれば、あまりにも相手に有利な調停の進行になっていると、調停委員に意見したり、相手の主張が不適切であることを指摘します。調停委員も、弁護士が主張すれば聞く耳を持つことが多いです。
ですので、相手が「気が強い」、「弁が立つ」、「嘘や大袈裟な主張をする」ような性格の場合は、弁護士に依頼され、弁護士とともに調停に行くことをおすすめします。
弁護士に離婚問題を依頼するメリット
弁護士に離婚問題を依頼すると、
以下のような法的なメリットがあります。
- 妥当な条件や見通しを知ることができる。
- 協議離婚、調停離婚、裁判離婚の手続きを任せられる。
- 書面を作成してもらえる。
- 提出する証拠を選んでもらえる。
- いつでも法的な質問ができ、疑問を解消できる。
- 類似ケースの解決策がわかる。
- 裁判所に対等に意見できる。
特に、離婚調停の場合は、妥当な条件がわかること、裁判所に対等に意見ができるという点は大きなメリットになります。
また、法的なメリット以外にも、以下のようなメリットがあります。
- 代わりに相手と交渉してもらえる。精神的な負担が軽くなる。
- 感情的に乱されず、冷静に判断できる。
- 相手が無視したり、はぐらかしたりしにくくなる。
- (裁判の場合)裁判所に行かなくていいため、仕事に支障が出ない。
- (調停の場合)調停委員に言いにくいことも代わりに言ってもらえる。
- 交渉や調停のその場で、有利不利、妥当、妥当でないという判断が即決でできる。
- できるだけのことをやったと後悔が残りにくい。
- 力強い味方ができ、1人で戦わなくていい。
調停は、その場で判断を迫られることが多いです。弁護士がいることで、あなたにとっていまの条件が有利、不利、妥当、妥当でないということをその場でアドバイスがもらえ、判断できます。その結果、納得して決断ができますし、早期解決にもつながります。
弁護士への依頼を決めた際は、弁護士の中でも、特に”離婚を多数扱っている弁護士”に依頼しましょう。
弁護士が取り扱う分野は多岐にわたります。
病院をイメージしていただくと分かりやすいですが、おなかが痛いときには内科、目の調子が悪いときは眼科、鼻水が止まらないときには耳鼻科を受診されると思います。
弁護士も同様に、それぞれに得意な分野があります。扱っている案件が多いほど、いろんなケースを経験しています。調停の進め方や今後の見通しなども多くのケースを経験することで、体得できるものです。
最後に
調停は、思っている以上にストレスのたまるものです。離婚問題の解決に注力している弁護士に依頼することで、少しでもご自身の負担を減らし、自信を持って調停に臨めるようにしましょう。
離婚調停を申し立てたい方は、できるだけ早く弁護士にご相談ください。