医師の妻のための離婚問題|夫が医師・医者の場合に知っておくべき全知識
「夫が医師。弁も立つので、自分に不利な条件で離婚させられそう…」
「医療法人だと、夫個人の財産が少ないので財産分与は期待できない?」
「モラハラがある。相手が医者で年収は高い。子どもや将来のために我慢するしかないの?」
「離婚 夫が医師」「離婚 医者」「離婚 医師の妻」と検索された方の多くが、同じような不安を抱えています。
医師という職業は社会的地位が高く、収入も安定しているため、離婚に踏み切ること自体に強い不安を感じてしまいがちです。
しかし、配偶者が医師であっても、離婚に関する法律の基本ルールは変わりません。
本コラムでは、医師の夫と離婚を考える妻のために、問題点やお金の話を、わかりやすく解説します。
最初に知っておくべきこと
結論からお伝えすると、
「夫が医師だから、妻が不利になる」ということは法律上ありません。
・夫が医師だから、財産分与の自分の取り分が少なくなる。
・夫が医者で、自分は専業主婦だから親権が取れない。
・社会的立場が高い夫の方が裁判で有利。
このようなことはなく、収入や職業にかかわらず、法律は公平に適用されます。
大切なのは、「正しい法的な知識を得て、医師特有の事情も理解した上で相手の言うことを鵜吞みにせずに進めること」です。
離婚|夫が医師の場合に特有の問題とは
不倫があっても気づきにくい
医師は病院という閉鎖的な環境で、長時間、特定のスタッフと働きます。
当直や夜勤など元々が時間に不規則なことも多く、患者さんの生命身体を守る仕事をしていることで妻としても、不審な点があっても、「仕事」と言われればそれ以上追及しづらい状況になります。
帰宅が遅い、休日でも出かけるといったことがあっても、そもそもが不規則な勤務なので、不倫に気づきにくいケースも少なくありません。
また、お金の管理も、夫が複数の病院で働いていたり、自治体の当番医、学校の校医、セミナーや講演会の講師の臨時収入があったりで、収入源が複数あり、わかりにくくなりがちです。お金の動きや財布の中身を把握しづらい面もあります。
不倫(法律上は不貞行為といいます)は、離婚原因となり、かつ慰謝料請求の対象になります。
いわゆるモラハラが行われていることが多い
社会的地位や収入、学歴が高いことから、医師の夫からモラハラを受けている方もいます。「俺と同じくらい稼いでみろ。」、「自分は社会的に意義がある仕事をしている。それに比べてお前は何もしていない。」、といった発言が繰り返される場合、いわゆるモラハラに該当する可能性があります。
大声を出したり、汚い言葉を使わず、淡々と人格否定をするモラハラもあります。
モラハラはなかなか周囲の人にわかってもらいづらいため、録音データ、LINEのやりとり、目撃者の証言など証拠が重要です。
激務・ストレスによる影響
医師の仕事は命を預かる責任があり、強いストレスを伴います。
深夜までの業務やオンコールへの対応、上司や同僚どの関係等、負荷がかかっています。
外で強い負荷がかかっている分、家に帰るとネガティブな感情を理性で抑えきれなくなり、自分勝手な行動や妻を攻撃する行動が出てくることがあります。
家事や育児にも、「忙しい」、「疲れている」という理由で、すべてを妻任せにしてしまうケースも多く、妻の方も小さな我慢が長期間続いてしまいます。
実際に多忙なため、夫婦や家族での会話や外出も少なくなりがちです。
医師・医者との離婚で最も揉めやすい「お金」の問題
財産分与とは?医師の離婚でも原則は同じ
財産分与とは、婚姻中に夫婦で築いた財産を、離婚時に分ける制度です。
相手が医師であっても、原則は2分の1ずつです。
財産分与の対象になるもの・ならないもの
対象になる主なもの
・預貯金
・不動産
・株式、投資信託、金・プラチナ等
・保険
・退職金
・医療法人の持分
・車
対象にならないもの
・結婚前からの財産
・相続や贈与で得た財産
・財産的価値のないもの
個人開業医の場合の財産分与の考え方
クリニックの設備や事業用口座など、評価が難しい財産が問題になります。
事業用の口座といっても、個人で自由になり、生活費に使用している場合は、当該部分について財産分与の対象になることがあります。
医療法人を経営している場合の財産分与の考え方
医療法人名義の財産はその法人の財産になります。そのため、特別な事情がある場合を除いて、基本的には財産分与の対象にはなりません。
しかし、出資持分、役員報酬、法人への貸付金、内部留保は争点になります。
医師の高収入を前提とした婚姻費用
別居中の生活費である婚姻費用は、医師の場合、非常に高額になる傾向があります。
特に、2000万円を超える収入がある方の場合、裁判所が使用している婚姻費用や養育費の計算を元にした算定表では、婚姻費用や養育費の金額が算出できません。
特別な計算方法で計算するため、インターネット上の情報だけでは、適正な金額がわかりづらいです。
相手に2000万円を超える収入がある場合の婚姻費用でよくとられる考え方
①年収に応じて「基礎収入」の割合を修正する という考え方
「基礎収入」とは、「婚姻費用や養育費を捻出する基礎となる収入」のことです。
算定表では、年収のうち一定の割合(給与所得者の場合54%~38%、自営業者の場合61%~48% 高所得になるほど低くなる)を基礎収入とし、この基礎収入を元に、婚姻費用と養育費の月額相場を出しています。
算定表の上限を超える年収の方の場合、算定表の上限に該当する基礎収入の割合(給与所得者は38%、自営業者は48%)より更に低く修正して、婚姻費用を計算することがよくあります。
結論として、この考え方を採った場合、婚姻費用の額は、算定表の上限より高くなることがほとんどです。
②年収に応じて「基礎収入」の算定において「貯蓄率」を控除する という考え方
基礎収入を算定するときに、通常は控除しない「貯蓄率」を控除する手法です。
この考え方は、高額所得者の方の場合、可処分所得のすべてを生活費に充てるのではなく、一定の割合を貯蓄に回すという考えに基づいています。
この考え方を採った場合も、婚姻費用の額は算定表の上限より高くなることがほとんどです。
③夫婦の実際の生活状況等から裁量で算定する方法
これは、夫婦の同居中の生活レベル、現在の双方の生活状況等の具体的なご夫婦の経済状況から妥当な婚姻費用を算定する方法です。
特に婚姻費用において、従前いくら生活費を渡していたかが重視される傾向にあります。
年収が2000万円を超える場合の養育費の考え方
年収額に関わらず,算定表の上限額を婚姻費用・養育費の額とする という考え方です。
養育費ではこの考え方を基本とし、教育費などで不足分があると加算するという方法がとられることが多い印象です。
要は、年収が2500万円でも、5000万円でも、婚姻費用・養育費は算定表の上限で頭打ちになるということです。
この考え方は、生活費や教育費にかかるお金には限度があり、年収が高いからといって生活費や教育費かかるお金が増えるわけではないという考えによるものです。
ただ、この考え方をとった場合でも、医師のご家庭はお子さんに教育費をかけていることが多く、月額の基本となる養育費に加算が認められることがあります。
婚姻費用、養育費問わず、年収が算定表の上限を少し超える場合と大幅に超える場合でも結論が変わることが多いです。
年収に変動がある方の場合は、何年か分の年収の平均値を年収として婚姻費用、養育費を考えることもあります。
以上のように、算定表の上限を超える所得のある方の場合、婚姻費用や養育費の算定が算定表を見るだけではわかりません。
離婚|医療法人と妻の関係で問題になるポイント
妻が医療法人に出資している場合
妻が出資し、理事になっている場合は、離婚に伴い、退任するか否かを決めた方がよいです。
退任する場合には、医療法人の定款等で、退任時の手続きを確認し、退任のための適正な手続きをとり、出資金の返還も求めていくことになります。
医療法人で妻が働いている場合
離婚したからといって必ずしも退職する必要はありません。夫から出勤停止や解雇を言い渡される場合もありますが、不合理な出勤停止や解雇を受け入れる必要はありません。
ご希望に応じて、未払い賃金や雇用関係の整理が必要です。離婚だけを理由にした解雇は認められません。
場合に応じ、未払賃金の請求や解雇無効を請求しつつ、退職金規程がある場合はきちんと退職金をもらって、解雇ではなく、互いの合意により退職しましょう。
医師・医者の妻が離婚する際の一般的な流れ
1.弁護士へのご相談
2.証拠の収集、別居の準備
3.別居・婚姻費用請求
4.協議または調停
5.訴訟(必要な場合)
まずは、専門家である弁護士にご相談ください。
離婚手続きを進める上で、適正な婚姻費用の支払いを受けるのは必須です。
双方の年収を概ね把握し、婚姻費用の額がどの程度になるか推測し、別居後の生活の見通しを立てることをおすすめします。
夫が医師の場合、婚姻費用は高額になる傾向があります。婚姻費用の安定的な支払いにより、離婚協議も妥協せずに進めていくことができます。
まずは、婚姻費用の確保と離婚条件を整理するところから始めましょう。
医師の夫と離婚するなら、弁護士に依頼した方がいい理由
・医療法人や高額な財産の見落としが少なくなる。
・モラハラや不倫の立証のサポートが可能。
・直接交渉する精神的負担を軽減できる。
医師の夫との離婚でお悩みの方は、弁護士法人とびら法律事務所へご相談ください
弁護士法人とびら法律事務所では、これまで医師・医療法人が関係する離婚問題を多数取り扱ってきました。
医師である夫が看護師と不倫をした案件、複数の女性と不倫をした案件、不貞をした医師の夫の方から離婚を請求された案件、夫から医療法人の持分の財産分与を否定された案件、長年のモラハラに耐え兼ね妻から離婚請求したら財産分与を一切拒否された案件など、いろんな案件があります。
あなたが次の人生への一歩を踏み出せるよう、専門家として、伴走者としてサポートしていきますのでご安心ください。
最後に(初回相談のご案内)
お一人で不安にならず、まずは一度ご相談にお越しください。あなたの状況に合わせた法的なアドバイスをします。
>>電話でのお問い合わせはこちら:千葉:043-306-3355 船橋:047-407-3180



