海外居住の夫と、算定表より高い養育費の支払いと教育費の一部先払いの合意ができたケース
ご依頼前の状況
依頼者である妻は、夫と長年別居していた。妻は、子が高校卒業する前のタイミングで夫から強く離婚を強く求められるようになったが、今後の子の教育費が心配であった。長く別居していたため、夫がどこの会社で働いているのかもわからなかった。
ご依頼後の状況
依頼後、弁護士が夫にコンタクトをとると、夫は海外の会社で働くため、間もなく日本を離れることが判明した。
その後、夫も離婚を強く希望していたことや自分が海外に行くことなどから、代理人弁護士(日本在住)に依頼した。夫は日本から海外に転居したが、代理人同士の話し合いとなったため、交渉はスムーズに進んだ。
夫は、子が医学部進学を目指していることは知っており、医学部卒業を想定した時期まで養育費を支払うことには合意した。養育費の金額については、長男の進学先がまだ決まっていないことと、経済状況的に概ね算定表をベースに定めることとなった。
その際、夫の海外での見込み年収をどのように評価するかが問題となったが、夫側は現地収入を円換算し、そのまま算定表に当てはめることを希望した。しかし、弁護士が夫の居住地は日本よりも物価が低いことを指摘し、そのまま算定表に当てはめると養育費が低額になることから、同意しなかった。最終的に、算定表より高い金額で合意に至った。長男の大学にかかる学費については、まだ進学先も未定であったことから将来追加で請求せざるを得ない状況であったが、夫が海外居住であり将来の請求や話し合いが難しいことに鑑み、離婚時にその分の解決金の支払いを請求したところ、解決金として200万円を先払いしてもらえることになった。
担当弁護士の解決のキーポイント
夫の離婚の希望が強いことを読み、ある程度強気で交渉を行った。弁護士主導で日本と夫の居住国の物価の差に目を付けたことは養育費の金額を上げる上でのポイントであった。
また、養育費の月額については上乗せを要望しつつ、多少譲歩の姿勢を示し、将来学費の請求や交渉が現実的ではなかったことから、離婚時の解決金として先払いしてもらうための交渉材料とした。