親権をめぐって争いがあり,離婚を拒否され別居中の監護者指定・子の引渡しを申し立てられたが,親権を獲得して離婚した事例
ご依頼前の状況
依頼者(妻)は性格の不一致・夫からのモラハラのため,結婚当初から夫と同居と別居を繰り返していたが,我慢の限界になり,離婚をする決意を固めて完全な別居を開始した。
夫は離婚に消極的で,話し合いにも応じなかったため,ご自身で離婚調停と婚姻費用分担調停を申し立てた。
しかしながら話は思うように進まず,これ以上ご自身での対応は難しいと思い,ご依頼された。
ご依頼後の状況
夫は離婚を拒否,離婚するとしても親権を獲得したいと強硬に主張し,調停は難航した。
さらに,夫は代理人をつけ,子の引き渡し調停と監護者指定調停の申し立ててきた。
双方が親権を主張していると,離婚まで大変時間がかかるため,別居中の監護者がどちらになるのかは非常に重要である。
案の定,離婚調停の方は,親権をめぐる争いが壮絶であったため,不成立となった。
担当弁護士は,子の引き渡し調停と監護者指定調停において,
今まで育児を主にどちらがしていたか,現在の子どもの環境,今後育児にどのように関与するのかなどを裁判所へ示すため,母子手帳や保育園などの連絡帳,保育士さんの話をまとめたもの,子どもとの写真などできる限りの資料を提出した。
家庭や保育園,依頼者の両親などに対する調査官による調査も行われたが,弁護士が調査に踏まえたアドバイスをし,滞りなく調査は終了した。
また,依頼者は夫との関係が悪化していたため,ご依頼されるまで面会交流を実施していなかった。
しかし,面会交流を適切に実施しないと監護者として不適切と裁判所から判断される可能性があるため,弁護士は調停継続中に,試行的面会交流を行うことを提案し,依頼者の両親や夫の代理人の協力を得て,面会交流の実施も行った。
夫は監護者でも譲らず,最終的に審判に移行したが,担当弁護士と依頼者の協働作業により,子どもの監護環境に問題がないことやこれまでにいかに依頼者が子育てをやってきたかを詳細に立証できたため,依頼者を監護者とする審判を得ることができた。
その後,複数回の面会交流が行われた結果,夫側も面会交流がこれまでのように実施されるのであれば,親権をあきらめ,離婚してもいいと態度を軟化させた。
妻が監護者に指定されたことで夫に諦めが生まれ,かつ面会交流の実績を重ねたことで今後子どもと会えないのではないかという夫側の不安が払拭され,離婚に同意を得ることができた。