夫から暴力を振るわれて別居をした妻が、家に残してきた息子を取り戻し、財産分与1800万円、慰謝料250万円を獲得し、調停離婚した事例
ご依頼前の状況
退職を目前に控えた自衛官の夫から、自宅で全治3週間を超える暴行傷害を受けた。妻は殺されるかもしれないという危険を感じ、ほとんどお金も持たずに自宅から別居をせざるを得ない状況に陥った。自宅には障害を抱える子どもを残してきており、一刻も早く子どもを引き取る必要があった。妻は暴行を受けた恐怖から、別居先住所を夫に隠しており、夫に直接連絡を取ることも困難な状況であった。
ご依頼後の状況
弁護士は子どもの引き取りを第一に考え、子の引渡し、監護者指定審判、これらの保全処分事件を裁判所に申し立てた。同時並行で、任意での引渡しを求め、夫本人と交渉を開始した。夫も、子どもの世話を1人で行うことに限界を感じており、交渉の結果約3週間で子どもの引渡しを受けることに成功した。この際、妻の荷物の引き取りにも成功した。
その後、離婚調停と婚姻費用分担調停を申し立てた。夫も代理人弁護士を立ててきたため、調停外での交渉も同時に行ったが、夫側弁護士は暴行の事実を否定し、慰謝料として8万円を提示してくるなど、不誠実な対応に終始した。
そこでとびら法律事務所の担当弁護士は、調停委員を通して、夫側を説得する方針に変更した。夫は自衛官ということもあり、多額の退職金、若年定年退職者給付金、住宅ローンが完済間近の自宅不動産など多額の資産を有していた。弁護士は、それぞれの根拠資料の提出を夫側に促し、財産一覧表を作成し、適正な金額での財産分与を提案した。夫側は当初適正額の60%程度しか払わないという回答であった。
弁護士は、同時に進行していた婚姻費用の審判事件において、妻側に有利な判断を獲得することが出来れば、夫側の対応が変わると予測し、婚姻費用において夫の想定よりも多くの婚姻費用を獲得する方針に転換した。審判において、担当弁護士の目論見通り、夫主張よりも月5万円ほど多い婚姻費用を獲得できた。
その後、予想通り、夫側は離婚に前のめりになってきた。財産分与については当初妻側主張に近い金額まで増額された。慰謝料については、弁護士から複数の近い事例の裁判例を提出し、夫側主張が法的に誤っていることを説得的に主張した。最終的に夫側は反論材料を無くし、250万円の慰謝料を支払うことに合意した。養育費についても、婚姻費用が多額になったことにならい、当初夫主張よりも月3万円高い6万円で合意できた。
このように、当初夫主張から大幅に上乗せした条件で調停離婚を成立させることが出来た。何よりも子どもを短期間で引渡しを受けることが出来、平穏な日常を早期に取り戻せたことは大きな成果であった。