あなたのパートナーはモラハラか
日常的に、「相手の言動に強いストレスを感じる」、「常に批判され、精神的に追い詰められている」と感じることはありませんか?
このような状況が続き、批判する人と批判される人が固定化されているなら、「モラハラ(モラルハラスメント)」かもしれません。
とびら法律事務所においても、モラハラを理由とする離婚のご相談は、飛躍的に増えています。本コラムでは離婚案件を多数取り扱う弁護士の視点から、モラハラが離婚問題に発展しやすい理由や具体的な対処法、そして弁護士に依頼するメリットについて詳しく解説します。「この状態ってモラハラかな?」、「毎日パートナーとの生活が苦しい。」と感じている方は、ぜひ参考になさってください。
モラハラが離婚問題になる理由とは?弁護士が解説
まず、「モラルハラスメント(モラハラ)とは何か」を理解することが重要です。
モラハラとは、言葉や態度によって、パートナーに精神的な苦痛や心的ストレスを与える行為を指します。具体的には、暴言や人格否定、長期間の無視、過度な束縛や管理、経済的支配などです。
たとえば、人格否定の発言だと、「お前なんかなんの価値もない人間だ。」、「お前は頭が悪いから教えてやっている。」、「あなたの能力では難しいですね。」、「私の方が正しいから、いつも私の言うとおりにしておけばいい。」といった内容のものがよく見られます。
人格否定の発言は、大声や強い口調でなくても、淡々と丁寧な言葉で繰り返されている例もよくあります。
態度によるモラハラは、長期間の無視、威圧的な態度、人前での侮辱などが代表的です。たとえば、挨拶や必要な会話を無視する、睨む、ため息や舌打ちを繰り返しする、ドアや窓を大きな音を立てて開閉する、机を叩く、食器や文房具を人には当てないように投げるといったこともあります。
過度な束縛や管理は、している方は強い愛情を示す行為として行われていることもあり、されている方も長期間我慢しがちです。
よくあるのは、まとまった生活費を渡さず、買い物リストと領収証を示させた後に、承認したものだけの費用を後払いする、パートナーの嗜好品や美容や趣味に関するお金は認めない、友人との外出や連絡を禁止する、1日の予定を細かく連絡させ、毎日報告させるといったことがあります。
対話ができず、一方的な束縛や管理になってしまうとモラハラといえるでしょう。
モラハラの怖いところは、物理的な暴力がないために被害者自身が「自分が悪いのかもしれない」と考えてしまい、発覚が遅れがちな点です。
家庭内のことで、周囲の人も非常に気づきづらいです。また、モラハラをしている方も、加害意図がないことが多いです。ベースには愛情や正義感があることもあり、むしろ相手にとって良いと思ってやっていることも多々あります。
しかし、モラハラは夫婦関係を破綻させる大きな離婚原因にもなります。実際、モラハラが長期化すると、されている方は強い心的ストレスを抱えることになり、うつ状態になったり、他の病気になるケースも珍しくありません。
また、法的にも、モラハラが長期間に及ぶと、「婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法770条1項5号)として、離婚原因になる可能性があります。
弁護士に寄せられる離婚相談の中でも、モラハラは近年増加傾向にあります。とびら法律事務所でも、モラハラを理由とする離婚の案件を多数取り扱ってきました。暴力のように周囲から認識されにくく、証拠も示しづらいため、一人で悩んでいる方はとても多いと思います。
何が証拠になるかもわからないと思うので、「日常的にパートナーの言葉や態度に傷ついている。」、「モラハラかどうかわからないが毎日苦しくて離婚したい。」、「パートナーと一緒にいると動悸や頭痛がして離れたい。」といった方は、早めに弁護士に相談してみることをおすすめします。
モラハラが深刻化しやすい背景と離婚時の注意点
モラハラが深刻化しやすいのは、している方に悪気がないことが多いのと、されている方も自分を責めてしまったり、周囲に相談できなかったりする背景があるからです。目に見える証拠もないことが多いため、モラハラが長期間継続し、ご本人同士では解決できない状況になってしまいます。
一旦、そのような状況になってしまうと、ご本人同士での夫婦関係の修復は非常に難しくなります。
たとえば、以下のような夫婦関係や家庭環境では、モラハラが見過ごされ、より悪化することが多いといわれています。
夫婦間のコミュニケーション不足
一方が相手の感情を全く考慮せず、自分の思いどおりに振る舞う。もう一方も我慢することが良いと考えてしまい、自分の意見を伝えずに押し殺してしまう。言い争いや喧嘩がよくないと思い、自分の気持ちを言葉で伝えていない。一方の話を真面目に聞かずに馬鹿にしたり、自分の話にしてしまう。 一方が嫌な話は無視したり、絶対に自分の方が正しいと思ってしまう。
上記のようなコミュニケーションの状態だと、モラハラが起こりやすく、進行もしやすいです。
会話の機会が少なくなり、その会話も一方的なもので双方向の対話に至りません。不満やストレスが表面化しないまま時間が過ぎ、孤立感を抱えやすくなります。
経済的・社会的に依存している状況
たとえば専業主婦(夫)で収入がなく、パートナーに経済的に完全に頼っている場合、我慢を強いられ、相談もできずにモラハラが続いてしまうことがあります。
また、モラハラをしている方は、比較的高収入、高学歴であることが多いとも言われています。社会的地位が高く、弁も立つことが多いので、モラハラをしている方は、自分のモラハラを認識しづらく、モラハラをされている方も、言いくるめられて結局自分が悪いと思いがちです。このような場合は、状況が深刻化することがあります。
性格傾向のすれ違い
加害側が過度に完璧主義であったり、被害側が自己肯定感がもともと低いと、支配—被支配の関係ができやすいとされています。
さらにモラハラ被害を受け続けていると、されている方は、一層自己肯定感が低下し、時には共依存の状態に陥ってしまうことがあります。
「自分さえ我慢すれば円満にいく」、「パートナーは自分を強く愛してくれているから、いろいろと言ってくれているのでは」と、事態を深刻に捉えられなくなるのです。仮に離婚したいなと思っても、被害が目に見えないため、周囲から説得されたりします。その結果、問題が長期化し、離婚という選択肢にたどり着くまでに時間がかかります。
いざ離婚の話を持ち掛けた際にも、モラハラのあるご夫婦の場合、婚姻費用を支払わない、財産分与の割合を低くされる、子どもを置いて出ていくことを強要される、年金分割を拒否されるといったことがよくあります。
少しでも、モラハラで離婚したいと思ったときには、弁護士にご相談ください。弁護士であれば、離婚の可能性、離婚条件、慰謝料請求の可否、離婚するための方法など法的に適切なアドバイスを行うことができます。また、どんなものが証拠になるか、モラハラで離婚が認められたケースのご紹介、今後気を付けるべきポイントも丁寧にご説明いたします。モラハラが疑われる場合は、早めにご相談いただくことで被害を最小限に抑えることが可能です。
モラハラの種類と具体的な対処法—証拠収集や第三者への相談の重要性
次に、モラハラの具体的な種類や対処法についてご紹介します。モラハラには以下のようなパターンが見られます。
1.言葉による侮辱・暴言
「お前はダメな人間だ」「存在価値がない」などと人格を否定する言動が繰り返される。
2.無視・過度な束縛
相手の問いかけに一切答えない、外出や交友関係を制限するなどして相手を孤立させる。
3.経済的支配
生活費を渡さない、買い物の明細を毎回厳しくチェックするなど、経済的に相手をコントロールする。
4.社会的制限・過度な監視
スマホやパソコンの履歴を隅々までチェックし、プライバシーを侵害する。友人や親族との交流を強く制限する。
こうした行為は時間が経つほど心身に大きなダメージを与えます。したがって、早期に具体的な対応を検討することが重要です。以下のステップを参考にしてみてください。
証拠保全
「録音データ」、「メール・LINEのスクリーンショット」、「日記やメモ」の保存など、モラハラを証明できる客観的な資料をできるだけ集めましょう。後になってパートナーが否定した場合でも、証拠があれば交渉や裁判で有利に進めることができます。
カウンセリングや第三者機関の活用
精神的に追い詰められてしまうと、自分一人の力で正常な判断をすることが難しくなりがちです。心療内科での心理カウンセリングや配偶者暴力相談支援センターなどの第三者機関に相談し、状況を整理すると良いでしょう。カウンセリングを受けることで、本来の気持ちを取り戻し、自信を持って行動できるようになるケースも多くあります。体調不良になっている場合は、我慢しすぎず、病院を受診しましょう。
弁護士への相談
いざ離婚を検討する際、「相手が拒否しても離婚できるのか。」、「別居しても生活費が心配。」、「自分のケースは慰謝料を請求できるのか」など不明な点も出てきます。そのときは、集めた証拠をもとに弁護士に相談するのが得策です。弁護士はこれまでの具体的事例を踏まえ、解決策をアドバイスいたします。
モラハラ離婚で後悔しないために—弁護士に依頼するメリットと手続きの流れ
最後に、モラハラが原因で離婚を検討する場合、できるだけ早めに弁護士に相談するべき理由を解説します。結論から言えば、モラハラの場合、ご夫婦間で上下関係ができてしまっており、モラハラをしている方は、自分の思い通りの解決しか受け入れないため、全く話し合いが進まないからです。また、モラハラを受けてきた方は、相手を前にすると、言葉がでないことも多く、うまく自分の意見や希望を伝えることができないことがほとんどです。
このような場合、弁護士に依頼することで、以下のメリットがあります。
法的知識を踏まえた交渉
弁護士は法律の専門家です。離婚協議や調停で相手方の主張が理不尽な場合、法律に基づき適切に対抗できます。交渉で感情的にならず、冷静に主張を組み立てるサポートを受けられます。
慰謝料請求の可能性や適正額の把握
モラハラの場合、精神的苦痛に対して慰謝料を請求できるケースがあります。弁護士が間に入ることで、適正な金額の算定や請求方法を明確にし、必要に応じて裁判も含めた対応を検討できます。
手続きの全体像を知り、計画的に進められる
離婚手続きは「協議離婚」から始まり、うまくいかなければ「調停」、最終的に「裁判」へとステップという流れです。弁護士に依頼すれば、状況に応じて手続き選択し、今後の流れを予測して、するべき主張をし、必要な証拠を提出するなど効率的に進められます。
精神的負担の軽減
モラハラを受け続けていると、被害者は気力や体力を消耗しがちです。弁護士に依頼すれば、難しい法的手続きや相手方との直接のやり取りを代理してもらえますので、精神的な負担が軽くなります。
弁護士への相談方法
とびら法律事務所では、モラハラ離婚に関する初回ご相談は無料(時間制限あり)で行っております。まずは、電話、LINE、メールフォームなどでご相談窓口にお問い合わせください。ご事情を簡単にヒアリングしたうえで、弁護士による面談相談のご予約をお取りします。
初回相談では、モラハラの具体的な状況を伺いながら最適な方針を一緒に考えていきます。状況によっては早急に調停や裁判を視野に入れた準備が必要なこともあるため、なるべくお早めにご相談いただくことをおすすめします。
まとめ
モラハラによる精神的苦痛は、周囲から理解されづらく長期間放置しがちです。しかし、我慢を続けるほど心身の健康を損なうリスクも高まり、夫婦関係も一層悪化してしまいます。早い段階で弁護士に相談すれば、状況を法的に整理でき、必要な証拠や調停・裁判に向けた準備など、スムーズに進めるための具体的なアドバイスを得ることができます。
もしパートナーによるモラハラで離婚を考えている方は、一人で抱え込まず、弁護士にご相談ください。とびら法律事務所ではモラハラを含む離婚問題に多数対応してきた経験をもとに、あなたの状況に即した解決策を丁寧にご提案いたします。モラハラによる離婚の初回相談は無料です。弁護士費用のご質問などもお気軽にお問い合わせください。本当のあなたを取り戻すために、私たち弁護士がお力になります。
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